尼崎市議会決算特別委員会「緑のかけはし」意見表明(全文)

緑のかけはしを代表致しまして、決算特別委員会に付託されました、平成28年度決算認定案、並びに関連諸案件に対しましての意見表明を行います。

今回、5常任委員会と同じメンバーによる分科会を、決算特別委員会に設置し、前年度の事業を審議、総括質疑をし、それを次年度予算に反映するという改革がスタートしました。

また、市長をはじめ、幹部ほか職員のみなさまによる施策評価の結果も、決算審議の資料となり、市の課題認識や優先順位の考え方を共有しながら、私ども委員は、質疑、指摘、要望などを申し上げてきました。

各委員があげた課題を、「市民代表の声」として尊重していただき、市民が暮らしやすい尼崎のまちづくりのための事業改善や、予算編成に活かされることを強く希望します。

さて、平成28年度の施政方針として、稲村市長は、『市民自治のまちづくり』、『教育・子育て』、『安全・安心のまちづくり』の3つを柱として位置づけ、予算や職員定数を重点的に配分する、と述べられました。

市制施行100周年という記念すべき年において、その成果のひとつである「尼崎市自治のまちづくり条例」は、いっそう多くの市民・事業者に認知されるよう、取り組みをさらに進めていただきたいと、要望します。

安全・安心のまちづくりに関する課題について、申し上げます。

地域振興体制再構築の、主体は市民です。プランを作るにあたり、通常の「市民意見聴取プロセス」によって、素案までは、庁内で作り、それから市民の意見を聞く、という手続きでは、たとえ、素案をつくる会議体等に、公募市民などが参画したとしても、十分なものではないと思います。

地域団体、市民運動団体、利害関係者ほか、できるだけ多くの市民の意見を聴き、ともに、創り上げていくという実感が持てる方策を講じていただきたいと要望致します。

また、地域コミュニティの基礎となる単位社協、連協の範囲と、地域コミュニティの核となる小・中学校の校区域とが、現在、異なっているということは、複雑な課題であると認識しています。

地域振興体制の再構築を検討するにあたっては、この点も視野に入れられるよう、求めます。

ファミリー世帯のみならず、尼崎に住むだれにとっても必要なこと、施策の展開方向にある「市民自らが住環境や住まいに関心を持ち、快適に暮らせるまちづくりに、積極的にかかわっていける環境づくりを進める」ために、様々な施策を展開されました。

「住もうネット」による情報提供や、ゆとりがあると住民が感じられる住宅や街並みをつくること、花と緑のまちづくり推進事業などを、さらに充実させるとともに、「老朽危険空き家」となる前に、対策を講じていただくよう希望します。

尼崎市への転入を考える他市の方々が、「何かを与えられるから住む」のではなく、夢の実現や高い満足度につながるように、自らが主体的な行動ができることに価値を見出す、そういう住宅施策を講じていただきたいと思います。

続いて、福祉施策について、意見を申し上げます。

障がい者の移動支援事業は、障がい者の社会参加を保障するものです。

この度、報酬単価の見直しが行われました。

障がい者自身の生活はもちろんのこと、支援する事業者の経営に与える影響は、最小限となるよう、慎重な運用を求めます。

また、縮小見直しがされる障がい者施策に対する職員の認識や姿勢が、障がい者に不利益とならないように、質が高い研修を、回を重ねて行うという努力をしていただきたいと望みます。

介護予防・日常生活支援総合事業が始まりました。 報酬単価の切り下げ、サービス担い手の資格の緩和などにより、訪問介護サービスが、質、量とも低下するのではないか、という懸念が拭えません。じゅうぶんな対策を講じるよう希望致します。

次に、公共施設マネジメント計画について、意見を述べます。

公共施設の維持管理が、「事後保全」であったために、4、50年で、建物の構造の劣化が著しく、廃止を検討せねばならなくなっています。

この要因は、各所管課で、施設の管理を行っていたために、予算の優先順位の後回しにされたこと、さらに、建物の延命化や定期的な修繕・修理が、おろそかになっていたことであると指摘します。

建物や設備の保全には、資産統括局が保全計画を作成し、専門部署が計画通りに進めていくことが重要であると考えます。

と、同時に、すでに建物の劣化が進んでいるものは、保全計画策定に、時間がかかることを認識し、早急に、施設利用者や運営者の安全を確保するための、緊急点検と修理・修繕を実施することを求めます。

次に、公設地方卸売市場(しじょう)について、申し上げます。

社会の流通システムが、大きく環境変化したことにより、取扱量が減少し、市場(いちば)の規模やあり方の検討がされていました。

そのさなか、青果部門の卸売業者が、突如撤退するという事態になり、市は、新たな卸売業者の入場による青果部門の取扱量の回復を待って、あり方の検討を再開するとしていましたが、現在も再開されていません。

そして、今年9月、取扱量の減少が原因であるとして、水産品の卸売業者も撤退しました。

現在、水産品の調達はされているとのことですが、「せり」が行われず、市場(いちば)としての機能が失われてきています。

新たな卸売業者の誘致に努力しているとのことですが、これまでの様に、取扱量の回復を待ってから、あり方の検討を再開するのでは遅いです。

早急に再開すべきであると、求めます。

次に、アスベスト被害の問題について、述べます。
環境暴露と、労災認定の格差の是正など、「石綿(いしわた)健康被害救済法」の改正に合わせ、尼崎市は、単独で平成28年6月、国に対し、アスベストによる健康被害者に対する、救済制度の充実と、健康被害の未然防止の取組推進を、緊急要望として行いました。

この、国への要望が実現するためにも、アスベスト被害が発生し、被害者が生まれた各自治体と、連携することが必要ではないか、そして尼崎市こそが、このネットワークの先頭に立つべきではないか・・。

市の努力を要望します。

続いて、「教育・子育て」に関して申し上げます。

まず、すべての市立(いちりつ)小・中学校において、空調の効く学習環境で、健康を損なうことなく、児童生徒が、勉強に専念できるよう、全館型空調設備の修繕・修理、機能更新をする等の手段を講じていただきたいと、要望致します。

次に、保育園の待機児童対策として、民間法人による認定保育園の設置が進まず、その理由が経営の困難であるならば、ファミリー世帯の子育て支援や、ワーク・ライフ・バランスのニーズに応える事業こそ、 公(こう)、行政の出番ではないかと考えます。

「民でできることは民で」が旗印となっては、いますが、「もし、民でできないことがあるならば、公(こう)で」、という考え方も、検討いただきたいと要望致します。

民間によって開発された新しい住宅地に、ファミリー世帯が転入してきてくれました。

そして、児童ホームの待機児童が多く誕生してしまいました。

ファミリー世帯転入・定住策において、入学児童数を地域ごとに推計することや、迎え入れる学校や施設のあり方など、民間住宅開発会社からも十分な情報提供を受けた上で、こども青少年本部と教育委員会が、いっそう強く連携されることを、希望します。

さて、平成25年度に、内閣府から「環境モデル都市」に選定された尼崎市でありますが、施策評価において、家庭での二酸化炭素排出量の削減に関する数値目標の達成率は、非常に低い現状にあります。

環境保全に対する意識の向上に寄与している、「子どもごみマイスター制度」同様、家庭での環境問題に対する意識向上や実践の取り組みを、小学生が主体となって行うように、市民団体等との協働の授業「あまっこエコライフチャレンジ授業」を、全ての小学校に導入することを要望します。

英語学習ホップ・ステップ・ジャンプ事業は、市立(いちりつ)中学校、市立(いちりつ)高等学校の生徒を対象として行われています。

文部科学省が実施する「全国学力・学習状況調査」は、国立・公立・私立(わたくしりつ)学校の小学6年生、中学3年生の、全児童生徒を対象に実施され、市教委がこのテストを市立(いちりつ)小中校で実施し、文科省から結果報告をうけて、分析を行い、発表しています。

朝、駅前にしばらくの時間、立ちますと、これほど、多くの市内外の私学に通う小・中・高校生がいるのか、と、驚きます。

尼崎市民であるこの子どもたちは、私学に通うことで、市教委事業の所管の対象ではなくなることも認識いたしました。

英語学習ホップ・ステップ・ジャンプ事業では、英検受験料、英語キャンプ参加費、語学留学参加費に対する補助は、市立中学・高校の生徒に対象が限られていることについて、このままで続けるのか、再考願いたく思います。

市の事業名に多く登場する「あまっこ」という語。 尼っこ健診、あまっこいきいきナビ、あまっこ水泳教室、あまっこねっと、あまっこファイル、あまっこぐんぐん、あまっこ元気ブック、あまっこ子育てハンドブック…

尼崎で生まれ育つ子どもたち、尼崎に転入してきて、尼崎で育つ子どもたち、尼崎で育ちながら、他市で学ぶこどもたち・・・みんなが「あまっこ」ではないでしょうか。

次に、尼崎城についての意見を申し述べます。

尼崎城は、「尼崎版観光地域づくり推進指針」の、中心施設です。

平成31年度の供用に向け、建設が進められていますが、市は維持管理費に約4000万円、入場料収入を同額と推計しているとのことです。

入場者数の目標・予測、有料無料の区分、駐車料金設定など、簡単ではないと思いますが、市が熟慮し、適正な立案をされていくことを希望します。

経験と実績と先進性と意欲のある指定管理者を選定し、尼崎城とその周辺の地域資源が、じゅうぶんに活用され、目標が達成できるよう期待しています。

グローバル化に対応し、インバウンド対策として、先進施設では、増え続けるムスリム観光客や住民への配慮として、ハラール認証食材による料理の提供や、お祈りの場所を設(しつら)えることを進めております。

多国籍の住民が住み、外国人観光客をお城に呼び込みたいとするなら、市の担当課、城を建設してくださる寄付者、そして、のちに選定される指定管理者等が、これらの視点を持っていることを期待しております。

最後に、3日前、7日の土曜日に入学式を行い、開学した、「みんなの尼崎大学」は、まさしく、総合計画にうたわれる1番目の「ありたいまち」つまり、「人が育ち、互いに支えあうまち」の理念を具現化したものだと思います。

公民館や図書館という、すでにある社会資源が、「みんなの尼崎大学」の開学へ向けた取組などを発信されたことを評価し、市内の各生涯学習施設と「みんなの尼崎大学」とが、強く連携できるよう希望致します。

「みんなの尼崎大学」入学式で、学生代表として、基調講演をされた稲村市長、あの講演内容が、すべての市民、いや、せめて、すべての市職員に伝われば、と、願います。

市が、今年度後半の市政運営、そして、来年度の予算編成において、だれもが、自分自身が参画することで、まちを良くしていくんだ、という、当事者としての意識に基づく、自負心、シビックプライドの醸成をしつつ、市民自治のまちづくりを、進めていかれることを希望し、「緑のかけはし」の意見表明を終わります。

ご清聴ありがとうございました。(すだ和)


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