10月10日 尼崎市議会決算特別委員会最終日

各会派代表による、決算認定等に関しての意見表明が行われ、すだ和は、「緑のかけはし」を代表して意見表明に登壇しました。

各会派20分以内という制限があり、4人の議員で分担して書いたものを、幹事長である私がまとめました。

4100字、長文ですが、関心をもっていただきたく思います。

また、後日、尼崎市議会のサイトから、全会派発言順に録画を視聴することができますので、それらも聞いていただければ、と思います。

緑のかけはし 意見表明(未定稿)

 決算特別委員会に付託されました、29年度歳入歳出決算をはじめ、関連諸案件に対して、緑のかけはしを代表いたしまして、須田和が意見の表明を行います。

 29年度決算は、市税の増収等により当初予算で予定していた28億円の財源対策を4億円に圧縮し、監査委員の言葉を借りれば、「無難な決算」であるとのことでした。 そして、この財政改善の要因には、財政再建の努力に加えて、好景気と低金利の追い風があることも忘れず、気を緩めることなく、取り組んでいただきたい。財政再建の目的は、市民福祉の向上にあるということも肝に銘じて、さらに続く財政再建の道を歩むための体制を確立していただきたいと、申し上げます。

 こども医療費の無償化について、ファミリー世帯の定住・転入促進という、市政の最重要課題に資する施策は他にもあるとは思いますが、今、子育て世代の強い要望があり、他の自治体との較差が浮き彫りになっております。この施策の意義は、いっそう大きくなったと実感しています。近隣市との較差是正には、早く取り組まれるよう求めます。 

 待機児童解消のための重要課題は二点、

 一つは保育無償化に伴い、現在の計画を上回る保育需要の増大が予想されることで、それに対応する計画を立てることが必要です。

 もう一点は、保育士の不足です。様々な対策が講じられていますが、根本的対策は、保育士の賃金を上げるしかないと、考えます。それも、他の自治体を上回るのでなければ競争には勝てません。このような観点からの対策を講じていただきたい。

 フリースクールなど児童・生徒の居場所の設置促進について

 不登校生徒の割合が、全国平均、県平均よりも多い現状があります。学校へ戻すことだけを不登校対策とはせず、フリースクールを含む学校以外の居場所については、民間団体などとの連携を進め、積極的な居場所の設置促進策をはかられたい。

 また、エビデンスに基づいた教育政策のための「学びと育ち研究所」に続き、「こどもの育ち支援センター」、「ユース交流センター」の開設準備が進んでいますが、開設してから、来訪者のニーズを聴くのではなく、開設前の早い時期に、当事者や支援者対象に、内覧会やセグメント調査などを行い、スムーズなスタートと即戦力を持った施設となることを期待しています。

 続いて、公設地方卸売市場(しじょう)について意見を述べまず。

 市場の将来像についての議論が止まったままです。給食センターの設置の議論の中で、市場の総合的な利用は、将来像との整合性をもって進められるのか、危惧します。

 給食センターに関する意思決定は、経済環境局や教育委員会の垣根を超え、全体を俯瞰するレベルで、順序良く行われるようにしていただきたい。

都市農園と生産緑地の保全

 2022年、平成34年、生産緑地指定期限が切れ、指定が解除されると、大量の農地が宅地に転用され、都市部における農地は、失われてゆくことが懸念されています。尼崎市においても、生産緑地、農地の重要性を認識し、積極的保全策を講ずることが必要です。 農業従事者、体験農園の担い手等も含め、育成策を打ち出していただきたいと要望します。

 次に、しょうがい者の移動支援事業は、本市独自の運営により利用も多く、しょうがい者の社会参加を促してきました。財政再建のためとはいえ、昨年度、下(しも)半期からの、報酬単価の引き下げによって、どのような影響が出ているのか懸念します。

 しょうがい者の生活への影響をきちんと見守り、悪影響がでぬように、必要な見直し、改善に取り組まれるよう求めます。

 介護予防日常生活支援総合事業への切り替えは、サポーターの就労が、計画の3%ほどにとどまっており、この制度の破綻が懸念されつつあります。抜本的な見直しをせぬままでは、制度の崩壊につながりかねません。国の制度にかかわることですので、覚悟をもって制度改革の要望等の努力をされるよう求めます。

 自転車関連施策について

 市の重点施策として、取り組みが強化された結果、放置自転車問題は大きく改善されました。また、犯罪認知件数の中で大きなウエイトを占める自転車の盗難も、工夫をこらした取り組みの中で、減少しつつあります。

 自転車事故防止に向け、事故の多い所の注意喚起やハード面の整備も必要です。 市民との協働で、放置自転車対策等で効果をあげられている実績をもって、交通ルール遵守、マナー向上の啓発活動の取り組みを継続されるよう要望します。

 尼崎城とインバウンド対策について

 尼崎城のオープンに向け、内外からの多くの観光客を期待しての施策が進んでいます。
海外からの渡航者が,尼崎市に集まること、一定の区画に大勢が滞在することなどは、容易に想像され、またJR尼崎駅、阪神尼崎駅へは、関西国際空港からの直行リムジンバスによって、海外からの訪問客や渡航帰りの市民などが、降り立ちます。
防疫対策、つまり、感染症の拡大をどのように防ぐのかという対策を講じることは、急務であると思います。早急な予算措置もお願いします。

 次に、業務執行体制の見直しで進められている、会計年度任用制度ですが、法改正の趣旨も踏まえて、適正な処置となるよう進める方針だと伺いました。どうか、対象となっている市役所非正規職員の処遇の不利益変更に、ならないよう進めてください。

 次に、地域振興体制の再構築について意見を述べます。

 来年4月には、各行政区6地区の「生涯学習プラザ」12館が拠点としてスタートしますが、まだ市民への周知が十分ではないようです。 行政内部の意思統一をし、これらの課題解決に向け取り組んでいただくよう、また、各小学校区に配置される職員には十分な研修を行い、過重な負担、つまり、働きすぎとならないよう要望します。

 また、この生涯学習プラザの管理・受付業務を指定管理者に委託するとして、指定管理者の募集が行われました。市民のためのサービス向上、掲げた施策の推進を、業務の中でしっかりと履行する力のある指定管理者が、公正に選定されることと信頼しております。

 なお、これは市民課の窓口のような業務委託ではなく、生涯学習プラザの館の管理・受付業務を指定管理者に委託するもので、公民館機能は、市直営で継続されることと理解しておりますが、館を訪ねてきて、窓口で相談・問い合わせの内容から、市民ニーズは測りうるものであるということを、理解していただき、事業の企画運営を行う市職員が、いかに指定管理者と協働(ともにはたらく)、またともにつくると書く共創ができるかということに、生涯学習プラザの成功はかかっていると思います。

 成功モデルを見せていただくことを、期待しています。

 公共調達基本条例が施行されて2年、「労働関係法令の遵守状況の報告書」の提出が本格的に実施されています。この条例を定着させるために、事業者・労働者にも、繰り返し広報することに努めていただい。

 また、その事業に携わる労働者の、最低賃金を記入するようになっていますが、現状では公共工事における労務単価の引き上げなどの施策が、労働者の処遇改善につながっているのかどうか、不明です。  報告書に、勤続年数や正規・非正規などの記入欄があれば、そうした施策の効果を見ることができるので、改善を要望します。

 ダイバーシティ推進施策について

 ダイバーシティとは、もともとは、アメリカにおいて、マイノリティーや女性を積極的に採用し、差別のない処遇を実現するために広がった概念ですが、そのうちに、“多様な働き方”を受容する考え方として使われるようになったものです。日本では、人種、宗教等よりは、性別、価値観、ライフスタイル、しょうがい等の面での多様性の概念からスタートしています。ダイバーシティ推進という名を冠(かん)した課を設置した市では、人権等の本質的観点を忘れることなく、あらゆる施策にダイバーシティ推進の視点を入れていただくよう希望します。

 最後に災害対策について申し上げます。

 南海トラフ巨大地震を想定した避難訓練・図上訓練などを行ってきた中で、台風21号により、大規模停電が及ぼす、さまざまな影響を、市も市民も思い知ることになりました。

 災害時の情報伝達手段については、様々な課題認識と提案などもあり、今後の情報伝達手段の充実が求められました。高齢者はもちろんのこと、どの場においても、どんな世代にも、ラジオ放送は有効です。「FMあまがさき」の災害時特別番組の充実、つまりは緊急放送の体制などの充実も急務であると考えます。

 災害時、公共交通機関が運行停止し、市内を移動するタクシーや自家用車でも、FM あまがさきを聴く、スマホでも聴くことができることなどの広報ももっと必要かもしれません。

 市民・事業者に対して、「災害時はFMあまがさき 820」のシール等の提供については、重ねてお願いします。

 また、ラジオによる災害放送を充実させたとしても、聞こえない方々、日本語が理解できない市民や市内滞在者に対してはどうするのか、当事者や支援者の方々と、いっそうの協議を続けていただきたいと要望します。

 災害時、「自助・公助・共助」と言われますが、最近は、「共助」がNPOや支援団体の復旧・復興などの活動を指し、ご近所、お隣さん同士の助け合いを 「互助」「近助」と呼ぶ専門家もおられます。

 水道が利用できない場合、使える水道栓があり、災害時に不特定多数の方々に、利用してもらった場合には、水道料金を減免するような仕組みも共助の一助になります。

 そして、市民が、自分のご近所の高齢者・しょうがい者、妊婦や乳幼児連れの親子などを、自分から助けよう、手伝おうという気持ちを促す「近助」についての取り組みも地域振興体制の中で考えていただき、総括質疑で「緑のかけはし」が提案した「災害避難カード」作成も、ぜひ検討していただきたいと強く希望します。

「避難する人が来たら、そこは避難所である」という考え方もあります。

 今回、尼崎市は、避難所指定していない公共施設を、熱中症予防等のクールスポットとして、また、スマホ、携帯電話の充電スポットとされたことを、制度化されるべきだと思います。

 指定管理者制度導入施設への避難について意見を述べます。

 避難所に指定されていない公共施設が指定管理者制度導入施設であった場合、指定管理者は、避難所開設をしたあと、運営は、市職員にバトンタッチをするのか、その場で協定を結びなおして、避難所となった公共施設の運営も指定管理者の業務とするのか、その公共施設が利用できないほどの被害であった場合は、協定による指定管理期間の打ち切りをするのか、また、それが目的施設の場合、代替施設をあらかじめ想定しておくのか・・・東日本大震災や熊本地震の時の指定管理者制度が導入された公共施設に関する事例などを、指定管理者とともに研究されるよう要望します。

 行政の災害対応力は、市民が能動的に支援や受援ができるような、日ごろからの取り組みが最大の課題だと思います。

 避難所においては、学校のみならず、新たに設置される生涯学習プラザのような、多世代・多目的施設が果たす役割も、考えていただきたい。
最後に、災害の渦中で、住民のために最善の方策を求めて、考え、動かれた、市民一人ひとり、市長、市職員、教職員、関連事業所や地域団体などのみなさまと、現在、復旧作業の中で、損壊した施設や設備、倒れた木などを現場で、一つひとつ、処理しておられる職員や従事する作業者の方々に敬意を払い、これをもちまして、緑のかけはしの意見表明を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

以上 緑のかけはし 意見表明 終わり


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