2021年10月11日(月)決算特別委員会は最終日、附帯意見の確認と、各会派の意見表明、そして、採決が行われました。
私が所属する「市民グリーンクラブ」は、わたせ和人議員が下記を述べられました。(画像は本庁南館前)
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皆さんおはようございます。市民グリーンクラブのわたせ和人でございます。市民グリーンクラブを代表いたしまして、2020年度決算並びに関連する諸案件に対しまして、分科会質疑及び総括質疑において審査検討した結果の意見表明を行います。
2020年度の一般会計の歳入・歳出決算額は、新型コロナウイルス感染症の対策等に伴い、事業のほとんどが国庫支出金や県支出金となっておりますが、前年度比及び当初予算比いずれも500億円以上の大幅増となり、2,600億円台と過去最大規模となりました。
自主財源は、税制改正による法人税割の税率引き下げ等の影響もあり、前年度と比べ47億円の減となっています。これまでの取り組みにより類似都市との自主財源比率の格差は縮小してきています。しかし、これは、これまでの市有地の売り払い収入が大きく寄与していることから、このまま格差縮小が続くわけではなく、自主財源の根幹である市税収入増の取り組みがより必要です。
また、将来負担額から充当可能財源を差し引いた純負担額も、他都市と比べマイナス値603億円となっており、まだまだを許さない状況であり、市債残高を圧縮するとともに市債発行に関してもをした対応が必要です。
なお、類似都市と比較して未だ差がある市税の収納率についてもさらなる取り組みが必要ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、生活がしている世帯もあると思います。個々の事情に寄り添った取り組みを強く要望します。
各種基金については、モーターボート競走事業からの20億円の繰り出しなどにより順調に基金への積み上げが行われています。しかし、これまでの行政運営を見ていると、借金返しと基金積立が最大の目的となっていないかとしています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、事業者や市民に多大な影響がある中、国・県に準ずる・隙間を埋める事業だけではなく、市民ニーズに対応した独自事業も必要と考えます。行政の最も重要な使命である市内事業者や市民生活を守るため、尼崎市の特性にあった尼崎独自事業について、財政調整基金の取り崩しを行うなど幅広くかつ躊躇なく迅速な対応を求めます。
▶新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止及び感染者への対応について
感染症に対する検査体制の充実も必要です。保育園や幼稚園、学校などクラスターを防ぐための検査体制のより充実を求めます。
また、感染者の療養体制については、入院施設が足りないということで自宅待機から自宅療養へと変更されました。しかし、自宅療養では、感染者は不安の日々を送らなければならず、また急変した場合の対応も遅くなってしまいます。感染者が適切に治療を受けられる体制づくりを県に強く要望しなければならないと考えます。
▶新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種について
本市では、ワクチン接種が全国平均並みにすすんでおりますが、接種率が低い年代もあります。接種を希望される方にワクチンが早く行き届くよう取り組みをすすめなければなりません。また、3回目のワクチン接種も取りざたされています。ワクチン接種開始当初の混乱を招かぬよう、事前準備を着実に行うよう要望します。
また、様々な理由によるワクチン未接種の方たちへの差別についてもしています。ワクチン未接種の方が不公平感を感じないよう、また差別が生まれないよう、当局が行う新たな事業も含め、意識を持った取り組みをすすめていただくことを強く要望します。
▶陽性者発生時の広域連携について
陽性者及び濃厚接触者に関する自治体間の情報共有は、感染拡大防止対策において大変重要です。自治体間の包括的な仕組みづくりを行うよう国へ要望するとともに、近隣自治体との連携強化について、尼崎が中心となった取り組みを行うよう要望します。
▶コロナ渦におけるひとり親世帯と女性の負担軽減について
市内でも、飲食業や宿泊業に女性の雇用が多く、コロナ禍では、雇用、特に非正規雇用労働に従事する女性たちが、大きな影響を受けています。
さらに、仕事を失った女性たちが、再就職することをし、非労働力化する傾向があると思われます。学校や保育園等の休業によって、また、在宅勤務の増加によって、育児や家事の負担が、これまで以上に女性に大きくのしかかっています。なかでもひとり親家庭などにとっては、生活がするリスクが迫り、その支援は急務であり、市政においてその視点も持った対策を要望します。
▶市立尼崎高等学校改革について
この度の総括質疑での市尼改革をめぐる答弁を聞く限り、に進めた経営企画部や校長顧問の設置及び廃止をはじめ、教育委員に対する対応など、市教委の閉ざされた運営が浮き彫りになりました。市教委運営のマネージメントの、教育現場を無視した組織ガバナンスの、教育委員や学校への対応や議会を軽視した対応は、市教委はするべきと考えます。また、現場と市教委をはじめとする一連の経緯の検証とともに教育委員会と現場が、共通した課題意識と解決策を共に話し合いより一層の市尼改革の取り組みを進めなくてはなりません。教育委員会からのトップダウンではなく、高校単独の支援担当組織を検討するとともに市教委と教育現場がより一層、連携強化を図り高校教育の支援体制の構築や教育行政のマネージメントと組織ガバナンスの再構築を強く要望します。
▶学校現場におけるいじめ・体罰・性暴力等の人権侵害について
学校現場と教育委員会が協力・連携し、いじめ・体罰・性暴力等の人権侵害の根絶に向けた具体的な取り組みを推進するとともに、事案発生後の迅速な対応を行うことを要望します。
▶不登校対策について
教育支援室「ほっとすてっぷ」のさらなる拡充、民間フリースクールとの連携と認定基準について、当事者や保護者の意見を聞く取り組みを求めます。また、広島県等で行われている校内フリースクールなど他都市で行われている事例を、調査研究し、新たな取り組みをしていただくことを要望します。
▶新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学校園での各種事業について
新型コロナウイルス感染症の影響により、研修会や講習会など各種事業が中止となっています。しかし、学校に通う子どもたちや教師、親御さんにとっては必要な事業です。感染症の影響で開催が難しいことは理解しますが、感染症の影響は長期間に及んでおり、対応を考える時間は十分にあったはずです。コロナ過でもできる代替え案を検討し、必要な事業はできる限り実施することを要望します。
▶教育ICT環境の整備について
教員の指導体制の充実を図るとともに教員の負担軽減にする取り組みをすすめる必要があります。また、子どもたちがICTを正しく適切に利用・活用できる力を身につけることも必要です。ネットの世界の危険性を学び、その中から自分の力で「正しい情報」を選別・深めていくことの大切さを、しっかりと教えていただくことを強く要望します。
▶地域住民による学校支援について
学校教育において、地域の住民や市民の参画があることは望ましいことですが、子どもにかかわる活動に参加する大人については、無償、有償にかかわらず、その資質、資格、経験などをしっかりとみて、複数の教職員によって総合的に判断をしていただきたい。ただ単に、「子どもが好きだから、学校の役に立ちたい」という意志だけで、市や学校を通した、園児や児童等に対する活動への参加に関しては、慎重に行っていただくことを強く要望します。
▶こどもの医療助成について
本市において最重要課題としているファミリー世帯の転出超過の課題解消のため、他都市と比べてもりするこども医療費助成について、更なる拡充を図ることを要望します。
▶保育士不足解消について
保育士の不足に関しては、長く、さまざまな議論がされてきました。尼崎市内で、「西宮市で保育のおしごと探すなら」とのキャッチコピーで、一般社団法人による西宮市保育士就職支援センターのポスターがみられるようになっています。
保育士不足に関しては、このように自治体間競争がますます激化することと思います。法人保育園の保育士確保のための補助金についても検討するべきと考えます。
▶保育施設の環境整備について
老朽化している保育所の建て替えも含めた施設の環境整備もの課題です。早急な対応を要望します。
▶児童虐待の再発防止モデル事業について
今年度は定員を超える希望者があり、本事業は保護者にとって求められている事業だと思いますが、それだけ助けを求めている方おられるということになります。虐待をしてしまうほど子育てに悩む保護者の方に手を差し伸べられるよう、すべての希望者が事業を受けられる体制づくりを強く要望します。
▶指定管理者の適切な評価と管理について
不適切な施設管理者の状況が監査から指摘を受けています。モニタリング評価についても、施設運営や市民サービス向上への改善にはつながっていないように思われます。
施設運営の適正な管理運営と市民サービスの向上を図るため、指定管理者の管理運営等に対するこれまでのモニタリング評価を総括するとともに、新たな評価の仕組みづくりを検討する必要があります。よって、適切なモニタリング評価が市民サービス向上に向けて施設運営に反映できるような評価運営の仕組みづくりをスピード感を持って検討するよう要望します。
▶生涯学習プラザの運営について
新型コロナウイルス感染症拡大や緊急事態宣言の中、多くの生涯学習事業が中止となりました。また、生涯学習施設も密を避けるために閉館しているところもあり、開館していても、人がすわってくつろぐことができるはずの、館内のいすを取り除く事例がありました。営利企業、たとえば、スーパーなどのイートインスペースを感染防止のために閉鎖することと、市民のための公共施設のサロンやエントランスのいすを取り除くこととは、まったく別のものであると考えます。
コロナ禍を理由に、やむを得ず事業を中止する、施設を閉鎖することが重なる中で、市職員や委託職員の意識が、税金で運営する公共施設の存在価値を変えてしまってはいないか、ふりかえりをお願いします。
▶職員の資質向上と離職について
公営企業局で発生した事件は市民の信頼を失墜させる大きな問題です。職員の資質の向上と組織のガバナンスを強化するため、全庁的な取り組みが必要です。また、これまで我が会派が危惧していた技術の継承ととともに、技術職の離職も危惧しています。職員が離職せず、尼崎市で働き続けたいと思える職場環境作りを行うことを併せて要望します。
▶災害被害の低減に向けた予防対策について
SNSによる情報発信だけではなく、拡声器のさらなる活用など、だれもがどこにいても情報を早期に入手できる体制づくりについて改めて検討することを要望します。また、避難行動要支援者を含めた市民の避難行動のにも努めることを要望します。
▶危機管理体制について
感染症も踏まえた避難所運営の体制強化を図る必要があります。感染症の濃厚接触者や自宅待機者、また海外からの帰国者などが避難できる避難所の体制づくりが必要です。
▶救急体制の充実について
消防局で感染症によるクラスターが発生してしまっては、消防及び救急業務に大きな影響を与えてしまいます。救急隊への定期的なPCR検査の実施など、感染拡大防止対策を強化するとともに、市民の救急要請に着実に応えられるよう消防・救急体制のさらなる充実を図っていただくことを強く要望します。
▶気候変動非常事態宣言について
IPCC第6次評価報告書では人間活動によって、約1.1度地球の平均気温は上昇しており、熱波、激しい降水、干ばつなどに人為的な気候変動の影響が認められると指摘されています。
本市は環境モデル都市の取り組みをしてきました。そして本年6月に気候非常事態行動宣言をし、2050年には脱炭素社会、2030年には50%のCO2を削減する目標を新たに掲げました。これまでの目標は28%ですから、これまでの倍ほどのしい目標ですが、達成に向け取り組んでいただきたいと思います。
また、異常気象による雨の降り方の変化、高温、酷寒、暴風、異常乾燥など異常気象がしつつあります。
今後、何十年も続くことになることから緊急性などを見極め、優先順位と予算の確保などについて、全庁的に課題を抽出し対策を講じることを要望します。
▶ボートレース事業について
この度の多額の繰り出しは、事業の最大の目的である市の財政へ資することであることから、コロナ渦において一定の理解ができますが、今後の繰出金についてルールは必要と考えます。施設改修やそこで働く職員の職場環境の改善など、必要な財源については、遠慮なく十分に確保したうえで、市への繰出金についてルールを策定するとともに、ルール策定後には、議会への説明も併せて求めます。
▶観光施策について
外出を控えなければならない今だからこそ、観光施策の充実を図る機会であると考えます。以前に指摘したJR尼崎駅南側の喫煙所内にある尼崎城の案内看板も城再建前の状態で放置されています。観光客が尼崎を訪れるようになれば、すぐに観光関連事業に取り組めるよう、今のうちにしっかりとした準備を行う必要があります。
▶尼崎市立老人福祉工場について
今年度末をもって指定管理期間が終了し事業の見直しが検討されていますが、現在、多くの高齢者が生きがいづくりや、福祉の増進を目的として就業しています。様々な課題があることは認識していますが、今後の方向性について、就業者への丁寧な対応を行う必要があります。また、新たな事業を展開するのであれば、現就業者が新事業へ円滑に移行できるよう、また新たな就業希望者を増やすための取り組みを、指定管理者とともに協議・検討することを要望します。
最後に、冬には第6派がくるのではないかと言われています。改めて申しますが、それまでに検査体制の強化、また事業者や生活にする世帯への支援策、また、ワクチン未接種者や感染者への差別など、様々、検討しなければならないことがたくさんあります。市民の生の声を聴き、必要なところに必要な支援が届くよう、取り組みをすすめなければなりません。また、来年度の予算編成は、長期間続く新型コロナウイルス感染症の影響が大きく出てくる可能性もあり大変な作業になると思われますが、市民サービスの低下をできる限り招かぬよう最大限の努力をしていただくことを強く要望し、市民グリーンクラブの意見表明といたします。
ご清聴ありがとうございました。以上
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決算議案は賛成多数で可決され、13日の本会議での採決となります。